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2020.09.17

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インタビュー トーマス・ワイカート国際卓球連盟会長 卓球の普及に向けて(2014年12月号から)

  • 若々しく、気さく。マイラケットを肌身離さぬ現役プレーヤー「テーブルテニス、イッツ マイ スポーツ!」

昭和22年創刊、800号を迎えたニッタクニュースのバックナンバーから編集部がピックアップしてお届けするページです。

 

2021年に任期を満了するトーマス・ワイカート国際卓球連盟会長。
ITTF Foundationの設立、そして、具体的な活動として「ドリームビルディングプロジェクト」の実施推進など卓球の普及に尽くしてきたワイカートさん。
会長就任直後に、2014年ヨーロッパ選手権会場で行った直撃独占インタビューをピックアップ!
*所属・年齢は当時のままです。
*ここに紹介の記事は、本誌記事を一部抜粋、編集しています。
本誌記事ページはこちら!

 

国際卓球連盟(ITTF)会長に9月就任(2014年)
トーマス・ワイカートさんに独占インタビュー

 

去る9月に、長期政権アダム・シャララ氏から引き継ぎ、第7代ITTF会長に就任したトーマス・ワイカート氏。

第33回ヨーロッパ選手権を視察に訪れた氏の素顔に直撃。ドイツ人。52歳。

プレーも観戦も大好きという言葉の一つ一つに、卓球をこよなく愛する想いがあふれていた。

――ITTF会長就任おめでとうございます。

「ありがとうございます。会長職はとても興味深く、最善を尽くしたい」

――心境をお聞かせください

「以前と変わりません。決断は簡単ではなく、本職の弁護士、ドイツ卓球協会の会長職のことも考えなければいけなかった。でも、今はもう落ち着きました」

――ご家族は?

「同じく弁護士の妻、16歳の息子の三人家族。息子はまんがとアニメが大好きで自らも描く。卓球のプレーヤーでもあります。ここ一年半程、日本に興味を示し、日本語を勉強。先日、数日間東京に滞在、5つの漫画ショップを訪問。秋葉原には私も2回同行しました。お店や音楽がとても賑やかで驚きましたね」

――会長就任について奥さんの反応はいかがでしたか?

「応援してくれました。これまでの卓球の仕事にも理解があり、今までも彼女の協力なくしては出来ませんでした」

――卓球の発展について、ご意見をお聞かせください。

「中国、日本、ヨーロッパのギャップを埋めることが出来るか、が人気スポーツになれるか否かのポイントの一つだと思います。中国の皆さんの努力の結果だが、今は一人勝ちの状態です。日本ではテレビ放映が盛んですが、最近ヨーロッパでは少なくなった。中国と対等に張り合えるようになれば人気も回復する。中国の練習、指導を学ぶことが大切だと考えています」

――卓球発展のモノサシを競技力水準以外に求めるとすれば?

「卓球人口の増加もその一つです。ITTFはシャララ前会長の時代からアジア、ラテンアメリカ、アフリカに存在する、指導や普及のしくみが確立されていない小さな組織を支援してきました。卓球の文化がないので、プレーする人も少ない。そうした地域に卓球を伝え、教えていくことが必要です。自分も同じようにしていけたらと思っています。第一段階として選手派遣や用具の支援、ゆくゆくは自立を念頭に、がポイントです」

 

観戦も大好き。ドイツチームの応援に熱がこもる(手前中央)

 

――ヨーロッパにおける卓球のポジションは?

「ヨーロッパではサッカーがナンバー1で、多くの会社にチームがあるのに卓球はない。卓球はラケットやテーブルといった道具が必要で、難しいところもあるけれど。出来るだけたくさんのコーチを生み出すこと、新しいアイデアを出すことで、他のスポーツより優位に立ちたい」

――ヨーロッパ選手権は、初めてプラスチックボールを使いましたが、影響はどのようにお考えですか?

「何でも新しいことを始めるときは難しいし、時間がかかるが、大きなトラブルは起きていない。セルロイドは燃えやすく、危険なので、非セルロイドへの移行決定は正しかったと思います」

――技量の優劣に関係なく、卓球人にとって一番大切なことは何でしょう?

「練習が一番。どんなレベルでもスポーツをエンジョイするためには練習が重要、プラクティス、プラクティス、プラクティス、です。練習はプレーヤー共通のイベント。ハイレベルな選手なら毎日。そうでもない人には週に2日くらいの練習が、そのあとみんなでビールを飲みに行くという楽しみのお膳立てにもなる。そんなことがスポーツ全般のよさではないですが。子供たちや他の人に教え、卓球を広める場にもなる」

――日本の卓球ファンにメッセージをお願いします。

「2014JA全農世界卓球は、楽しく素晴らしい時間でした。会場内外でたくさんのファン、チーム、ボランティアの人たちにも会えた。2009年の横浜大会も同様でした。とてもいい気分になるし、おもてなしもグッド。また訪れたい」

――プレーヤーとして卓球を楽しんでいますか。

「もちろん!1973年からサッカーのゴールキーパーと卓球を始め、二年後に卓球専念を決意。1980年代にブンデスリーガ2部でプレー、今は6部です(笑)。イッツマイスポーツ!楽しくってたまらない、分かるでしょう?自分にとって最高のスポーツです。右利き、シェークハンドドライブ攻撃型。でもトップスローリー&ゴー、スロー&スローあはははは。いつもラケットを持ち歩いている、嘘じゃありません。今度一緒に練習しましょう、約束ですよ」

 

ヨーロッパ選手権の練習会場で汗を流すワイカート“選手”。出張先にも必ずラケットを持ち歩く