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2021.04.12

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フレッシュインタビュー 大野颯真(ABBEY・鹿児島)

  • 2019年全日本選手権ホカバより。右上から時計回りで、大野正博さん、颯真くん、斗真くん、百合子さん

2019年に行われた全日本選手権・バンビの部で優勝。2021年全日本選手権ジュニアの部には、最年少出場した大野颯真(そうま)くん。劉詩雯、丁寧らの中国選手、日本選手においても過去に石川佳純、伊藤美誠、張本智和らが出場した経験のある東アジアホープス大会に、今回颯真くんは小学校3年生としては3人目となる代表権を獲得した。

 父・正博(まさひろ)さんは実業団選手としてプレーし、母・百合子(ゆりこ)さんもインターハイや国体に出場する実力の持ち主。姉・紗蘭(さら)さん(石田卓球N+)が6歳で卓球を始めていたこともあり、颯真くんは、双子の兄である斗真(とうま)くんと一緒に2歳11か月で卓球を自然と始めたそうだ。

「主人はまだ現役の選手でしたので土日は練習。紗蘭は6歳。颯真、斗真もまだ小さく、とてもじゃないですが、土日の時間を私1人で子ども3人の相手をするのが大変でした。そこで紗蘭を主人の練習場に連れて行ってもらったことで、紗蘭が卓球をスタートしました」と話すのは百合子さん。

「紗蘭は、正直全国で勝てるような練習をしていなかったのですがバンビの部でベスト16に入賞。しっかりとした練習をすれば全国大会でも活躍できるのでは考え、颯真、斗真も卓球をスタートしました。大人に教えるのと子供に教えるのでは全く違いますので、最初は石田卓球(福岡)さんに勉強にいきました。練習内容は半分ぐらいがコピーだったと思います」と話してくれたのは正博さん。

 その話を横で聞いていた颯真くんは「初めて卓球をしたことは覚えていないけど楽しかったのは覚えている」と笑顔で返す。

 平日は主に約4時間、百合子さんがコーチを務め、正博さんが早く帰宅できれば練習に参加する。土日、休日は、正博さんが勤務する鹿児島相互信用金庫の練習場で約7時間みっちり練習する。ご両親にも休みはない。それでも颯真くんは「なかなか学校の友達と遊びに行くことはできないけど、練習が大好きなので楽しい。練習が休みの時は学校の友達と外に遊びに行ってます」と話してくれた。

▲ご自宅の練習場所。「少しでも気になった時にいつでも練習するためです」と正博さん

 

 

好きな言葉は『優勝したぞ!』

 

 2021年全日本選手権ジュニアの部に、「9歳78日」に大会最年少出場。1回戦で敗れてしまったが確かな自信を得て、同月末に行われた東アジアホープスの予選に出場。龍崎東寅、張本智和に次ぐ、小学校3年生では3人目となる代表権を獲得した。

 コーチでもあるご両親からは「同世代ではスイングスピードは速い方。対戦相手をしっかり分析して、予測してプレーできていると思います。しかし8-8や9-9など、大事な時こそラリー戦に持っていかないといけない。しかし大事な時こそ簡単に点数を取りに行ってしまう、決めに行ってしまう。そこが課題です」と話す。

颯真くん本人も「心の乱れが今の課題。点数が離れてしまうとプレーが雑になってしまう」と冷静に自分のプレーを分析している。

「得意な技術はバックハンド。厳しくいけない時の守備の部分と攻撃的な部分を使い分けていて、ラリー戦が好きです。張本智和選手のようなバックハンドを打ちたい。課題はフォアハンドドライブ。ボールを捉える時に、少し巻いてしまっています。将来の目標はオリンピックで優勝すること。しかしその前に日本一にならないといけません」と、9歳という年齢ではあるがしっかりと自分の長所・短所を理解し、目標を立てていることにびっくりさせられた。

 嬉しかった優勝はありますか、と質問すると「全日本選手権バンビの部優勝と日中チャレンジ大会シングルスで優勝できたこと。やっぱり勝てるから楽しい。好きな言葉は、『優勝したぞ!』です」と話してくれた。

 外で遊ぶのが好きと話す大野兄弟。取材後「鬼ごっこしよー」と誘われた。ラケットを握っている時はアスリートの表情であったが、鬼ごっこ中は、無邪気に走りまわる9歳の少年であった。

▲「家族の力」で日本の頂点、世界の頂点を目指す