伊藤美誠の会見「気持ちの強さが前よりグンと上がった」

女子では初の2年連続3冠を達成した伊藤美誠は、優勝後の会見で決勝戦について「めちゃめちゃ楽しかったです」と笑顔で語った。彼女の優勝に涙は似合わない。そして、笑顔の裏側に潜むのは人一倍、いや二倍三倍の努力だ。ドライブ全盛の現代卓球に、鋭いミート打ちで新境地を切り開き、表ソフトで裏ソフト以上に多彩な回転を操る独創的な異質攻守を築き上げてきた。優勝後の会見の主な内容は、下記のとおり。

「3冠はすごくうれしいですし、シングルスで優勝できてホッとしたという感じです。混合と女子ダブルスを優勝してから三冠、三冠とたくさん言われて、でもそれはプレッシャーというより、『もうちょっとで三冠かあ』という感じでした。私の中では目の前の一試合一試合をやりきることしか意識していなかったし、目の前の試合に集中できた。さらに去年よりも良かったかなと思っています。

決勝はめちゃめちゃ楽しかったです。今の年齢だと、なかなか決勝の舞台で年下の選手と対戦することがない。改めて今の日本女子の層の厚さを感じると同時に、年下の選手には絶対負けたくないと思いました。タイトルを獲られたくないという強い気持ちがあったので、目の前のポイントを取ることをしっかり考えて、勝つことができて良かった。

去年三冠を取ったことで、私の中でもすごく自信はありましたし、自分の実力を出せれば絶対大丈夫と信じてやってきた。自分を信じて良かったと思います。どの選手が私を倒しにきても、それ以上に私は楽しめたことが一番だったかなと思います。もちろん勝ちたい気持ちはあるんですけど、『勝つ勝つ』というよりは楽しんだほうが勝てると思っている。自分のプレーをして楽しもうと思っていたら、こうやって三冠を獲れました。

卓球の実力はどんどんついてきていると思うけど、気持ちの強さが前よりグンと上がって、切り替えも早くなった。1ゲーム落とした後の切り替えだったりとか、最後の決勝も4ゲーム目9ｰ3から9ｰ11で落として、いつもなら頭が真っ白になるけど、落ち着いて切り替えられることができたのは成長した部分。強い気持ちを持っておくことが私らしいなと改めて思います」