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5月1日に現役引退を表明した石川佳純さん(全農)の引退会見が、5月18日に都内で行われた。
会見には76社に及ぶメディアが出席し、石川さんの選手としての最後の声に耳を傾けた。
また、メディアの中には石川さんの先輩でもある平野早矢香さんの姿も。涙ながらに石川さんへのインタビューを行った。
以下、質疑応答――(一部抜粋)。
夢が目の前の目標となっていった
――たくさんの夢が叶えられたと振り返っていたが、石川選手にとっての夢とは。
「夢舞台であったオリンピックに3回出場できたこと、そして、世界の舞台で約10年間戦えたことは誇りに思います。夢だった『オリンピックでのメダル』が、目の前の目標となってきて、その目標をひとつひとつ必死で追いかけてクリアしていく楽しさを、卓球を通して学びました」
自分自身と向き合うことを常に意識。100%を常に出すのが、プロとして最低限の責任
――後輩からの突き上げもあったが諦めずにやってこれた理由は?
「自分自身と向き合うことを常に意識してきました。特に、現役生活が長くなればなるほど苦しい時間も増えてくることが多かったのですが、自分自身と向き合うことをあきらめないという、自分なりのポリシーを持っていて、そこを最後までしっかりと果たせたことは嬉しく思います。
また、18歳からプロとして活動させていただいて、たくさんの方に応援していただいて、その中で100%を常に出すというのは最低限の責任と思い頑張ってきました。
近藤監督は世界を目指すきっかけをくださった
――近藤欽司監督との関係性を踏まえて、サンクスツアーで全国で指導していますが、心がけていることや学んだことはありますか?
「近藤監督は、14歳の時に世界選手権ザグレブ大会に日本代表に初めて選んでいただき、世界を目指すきっかけをくださいました。
指導とプレーでは全く違う難しさがあります。近藤監督のような素晴らしい指導はまだできていませんが、近藤監督からアドバイスをいただいて全国各地のサンクスツアーに行って、子どもたちに卓球の魅力を伝えていきたいです」
勉強など、新しいことにどんどんチャレンジしていきたい
――次の夢はなんでしょうか。
「今までは遠征や練習などで勉強をする機会がなかったので、勉強もしてみたいですし、新しいことにはどんどんチャレンジしていきたいです。
スポーツが好きなので、スポーツにかかわる分野や人に伝えることを学ぶことで、自分自身の経験を伝える活動などをしてみたいです」
後輩たちには後悔のないように思い切ってやってほしい
――パリ五輪の選考レースが行われていますが、後輩にはどんな思いを託したいですか。
「肉体的にも精神的にも勝った選手が出場できる。本当に大変な時間ですが、今しかない大切な時間、後悔のないように思い切ってやってほしいです」
「こんな選手になりたい」と思ってもらえるようにありたいし、そういう気持ちが成長させてくれた
――アスリートとして、人として、こういう姿でありたいなと心がけてたことはなんですか。
「日本代表としてプレーするようになって、成績はもちろん、それ以外の場面でもこんな風になりたいなと思ってもらえる選手でいたいなと思いましたし、そういう気持ちが自分自身を成長させてくれました。
苦しい時期やつらい時期がたくさんありましたが、選手としても人としても大きく成長できました」
どんなに失敗しても何回でもチャレンジすること
――苦しい時期があったと思いますが、そこから一歩踏み出す力はなんでしたか。
「努力をすれば成績が出るという言葉があると思いますが、長い間やっているとそう思えないこともありました。私としては、頑張っても結果が出なくて苦しみましたが、そこからがスタートなのかなと。
そこで学んだことは、続けることの大切さ。どんなに失敗しても何回でもチャレンジする、その言葉に何度も励まされましたし、それが大切だと思いました」
世界中の子どもたちが練習試合をする機会があったらいい
――中国語ができることが強みだと思いますが、今後中国で活動されることはありますか?
「中国語を覚えたことで、選手やファンと交流ができて経験の幅が広がったなと感じています。引退後も世界チャンピオンを目指している日本や中国の子どもたち、世界中の子どもたちが練習試合をする、そういう機会があったらすごくいいなと思っています」
できるまで何度も挑戦することも才能の一つ。目の前のことに真剣に、誠実に向き合うこと
――子どもたちに伝えたいことはありますか。
「目標や自分が夢中になれることを見つけてほしいなと思います。
『才能』というものは一つとは限らないと思います。先生に言われてすぐできる人ももちろん素晴らしいですが、できるまで何度も挑戦することも才能の一つ。もし、やってみて向いていないなと思ったとしても、好きな限りは続けてほしいですし、いろいろなことにチャレンジしてほしいと思います。
大切にしてきたことは、目の前のことに一つずつ真剣に、誠実に向き合うこと。目の前のことを全力で一生懸命やっていくことが、いいきっかけとなり、次に繋がっていくと思います」
追い抜かれる時は苦しいけれど、それでも諦めなかった。少し自分を褒めたい
平野早矢香さん――3大会連続のメダルというのは石川選手の偉業。本当に苦しい時期だったと思うのですが、振り返ってどのように感じていますか。
「たくさんの素晴らしい先輩方がいて、その背中を見て育ってきました。私も素晴らしい後輩たちにそんな風に見てもらえるようになれたかな…。追い抜かれるときは苦しいけれど、その中でも自分の中で諦めずに出場権を得られたことは、少し自分を褒めてもいいかなと思います」
選手としても人としても素晴らしい選手がたくさん出てきたら嬉しい
――女子卓球の未来について、どのように思っていますか。
「たくさんの才能あふれる素晴らしい選手がいて、素晴らしい先輩方からバトンをもらって私も日本代表としてプレーしてきました。自分が引退したことによって、後輩たちにいいバトンを渡せていたらいいなと思います。これからは後輩の皆さんの活躍をすごく楽しみにしていますし、応援しています。
また、卓球の魅力を一番伝えてくれるのは世界で活躍する選手だと思うので、選手としても、人としても素晴らしい選手がたくさん出てきてくれたら嬉しいです」
卓球に育ててもらった。卓球に夢中になった23年間でした
――卓球は石川選手にとってどんな存在でしたか。
「卓球に出会ったことで、大きく成長できたし、卓球に育ててもらったと思います。卓球に夢中になった23年間でした」