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男子ジュニアの部で悲願の優勝を達成した木造勇人(愛工大名電高)優勝を期待された木造の道のりは簡単なものではなかった。
世界ジュニアの選考会で優勝。フランスで行われる予定だった世界ジュニアに出場する予定も、パリで起きてしまったテロ事件の影響で、日本選手団は派遣を中止。「本当に出場したかった。でも国が決めたことなので仕方ないです。世界選手権の選考会、全日本ジュニアで頑張ります!!」と連絡が入った。
迎えた12月。木造選手の全日本のユニフォームを用意するために連絡を取った。「青系のユニフォームだと良い成績が出ないイメージがあるので、赤系のユニフォームにしてください。お願いします」と返答があった。木造選手はその後に郡山で行われた世界選手権選考会に出場。大会前に「選考会、全日本選手権では絶対に良い結果を出します。その試合にかけています」と連絡入っていた。しかし結果は3勝6敗で予選リーグ7位。私はなんと言葉をかけて良いかわからなかった…。
全日本選手権。ジュニアの部では順調に勝ち進むが、ダブルス、一般では敗戦してしまう。準決勝・決勝を残した前日。木造選手から「ゲン担ぎで、今回いただいたユニフォーム以外のものを着用してもよいですか。」と連絡が入った。「もちろんだよ」と返事をすると「絶対に優勝したいんです。絶対に優勝します」と返事があった。アスリートに取って、ゲン担ぎは勝利するために重要な部分であると再認識させられた。
迎えたジュニア準決勝。伊丹雄飛(野田学園)と対戦。伊丹選手の好調なプレーに、1、2ゲーム目を落とす苦しい展開。3、4ゲーム目は木造が取るも、最終ゲームは、0-5スタート。そして、2-6負け。ミスをする度に見せる、木造の表情から察するに、明らかにリズムに乗れていないのがわかる。会場の多くの人が木造選手の敗戦を意識したのではないか。しかしそこから1本ずつ得点を重ねた木造。何とか追いつき、逆転勝利を掴む。
そして緒方遼太郎(JOCエリートアカデミー/帝京)との決勝。「準決勝の悪い部分を修正して決勝に挑みました。なので前半はリズムが良かったです」と試合後話した通り、1、2ゲーム目を思い切りの良い攻撃で攻めてゲームカウント2-0で王手をかける。しかし。3ゲーム目は緒方選手のチキータ攻撃の前に受け身になってしまい落とすと、4ゲーム目も受け身の姿勢は変わらない。ゲームオールを覚悟するも、木造は1本ずつ丁寧にプレーする。緒方選手がマッチポイントを握るも、木造選手の気持ちの入ったプレーを見せて、追いつき、ジュースへ。最後は14-12で勝利。悲願の優勝を決め、珍しく感情を爆発させた。
決勝後。「準決勝は本当に負けると思ってました。危なかった。決勝の最後もなんで挽回できたかわからない。でも、1本ずつ思い切ってやった結果が追い付き、逆転することができました」と言われた。ラケットを握った時から指導をしていて、今回ベンチに入った薫コーチは「勇人は、技術はある。彼の場合は気持ちが問題。もっともっと成長しなければいけない。ただ優勝は嬉しいことである。これを機にさらに成長してくれればと思う」と述べた。
ジュニアの部を終え、15日は本来なら一般の部で試合があった予定の木造選手。予定外の敗戦で、15日は、先輩の応援、試合観戦を行っていた。
「ジュニアで優勝できたのは嬉しい。でも一般の部で勝てなかった。悔しいです。来年こそ…」悔しさを残した発言だった。
木造選手は全日本が終わり、すぐにワールドツアーに参戦するために、ハンガリーに向かった。「全日本は全日本。次は世界で。攻めの姿勢を忘れずに」と一言添えて、全日本の写真を木造選手に送った。すると「そうですね。これからも応援よろしくお願いします。頑張ります」と返事があった。
どの会場でも、朝一番にニッタクブースを探し、挨拶をしにきてくれる木造選手。ブースのスタッフからも「木造選手が挨拶しにきてくれましたよ」と評判が良い。勝負事で気持ちが弱いといけないと言われるが、木造選手には、そこまでしなくていいよ、とこちらが思ってしまうほどの優しさがある。
努力の数だけ目標が近づき、自分自身だけが自分自身を強くできる。
木造の挑戦ははじまったばかりである