OFFICAL ACCOUNTFOLLOW US
TOPICS
2021世界卓球選手権ヒューストン大会女子シングルス決勝は、午前中に女子ダブルスで優勝した王曼昱、孫穎莎のペア同士の決勝戦となった。生まれた年も王が1999年、孫が2000年と同世代選手と今後の女子卓球界をリードしていく年齢であり、両者は前回の世界選手権ハンガリー大会でも対戦している。
王は長身から繰り出すパワフルな両ハンドドライブが売りであるが、体の線が細く体力面に不安があった。一方、孫は安定した両ハンドドライブに素早い動きからのフォアハンド強打が売り、孫の方がやや世界的には結果を残していた。
▲パワフルドライブの王曼昱
▲優勝に値するプレーをした孫穎莎
「威力」の王曼昱。「速さと早さ」の孫穎莎
王は準決勝で絶対的女王であった陳夢に、パワフルなドライブの連続攻撃で勝利。その他のプレー、内容も素晴らしかった。一方、孫も準決勝は王芸迪に打点の早い攻撃で勝利。互いに好調であった。
迎えた決勝。ラブオールの最初のラリー。王が、ミドルに返球。ボールが孫の服に当たったと思い勝手にラリーを止めてしまう。孫も審判も「??」となるが、王が孫の服に当たったことをアピール。しかし結果は孫のポイント。決勝戦独特のムードが緊張させ、焦りを生む。動揺したのかそこから連続失点。それが響いたのか王が1ゲーム目を落とす。
第2ゲーム目からは、孫は前陣でのバックハンドドライブで、ストレート攻撃を2回、王が打点を落として攻めあぐねた所でバックサイドにドライブ、回り込み強打するなど的確にコースを突いて得点を重ねていく。攻撃の手数ではほぼ互角であるが、ダイナミックなフォームの王は、打点が早いタイミングで打たれたボールがフォアサイドにがくると、ダイナミックさが故に、前陣では早い打点では対応できず連続攻撃を許してしまい失点。結果ゲームカウント1-2とリードを許す。早さに対応したい王は、4ゲーム目から前陣と中陣の間ぐらいの位置から、両ハンドドライブを展開。不利なラリー戦には持ち込まず、なんとか早い手数での強打を繰り出す。この作戦が効いたのか4、5ゲーム目を取った王が優勝に王手をかける…。
▲孫も気持ちを出してプレー
運命の6ゲーム目
迎えた6ゲーム目。一進一退の攻防となるが、孫が10-8とリード。このゲームを落とすと流れが孫にいってしまう可能性がある王は粘りに粘り10-10に追いつく。12-11。王がついにチャンピオンシップポイントを握る。しかし優勝へのプレッシャーなのか、孫の普通のバックハンドドライブに対してまさかのオーバーミス。明らかな凡ミスであった。取るべきポイントを取れないと試合の流れが変わり、下手をすると試合自体を落としてしまう可能性がある。それほど大事な1本であった。しかし卓球の神様は王を見放さなかった。
13-13。孫のサービスに王がレシーブミス。再び凡ミス。勝負あったかと思えば、王の巻き込みサービスに孫のレシーブが浮き、王がストレートにドライブ。再び王が追いつく。14-14。孫のフォアミドルへのサービスに対し、判断を誤った王はただ入れるだけのレシーブ。孫はここぞとばかりに回り込みドライブで得点。しかし次の得点は王のバックハンドドライブがネットにかかりコート深くに入る。王はネットにかかり手をあげて謝りながらも拳を握りしめ得点を喜ぶ。まるで卓球の神様が王に優勝させようとしているかのようなシーンであると同時に流れが王に傾いた瞬間であった。
15-15オール。サービスに入る前に、両者タオルを使い次の作戦を考える。2人だけが味わえる緊張感がコートサイドにもヒシヒシと伝わってくる。孫のサービス。バック対バックのラリー戦になり王がセンターラインにきたボールを苦し紛れに孫のミドルへ打ち返すと、今度は孫の凡ミス。王がチャンピオンシップポイントを握る。王はこれまで得点率が良い巻き込みサービスをフォア前へ。すると狙い通りに孫のレシーブが浮く。回り込んで強打の準備をする王であったが、レシーブはそのままコートにバウンドすることなくアウト。最後はサービスエースでの得点であった。王は得点をあげ、フロアに倒れ込んだ…。
「優勝できたことはとても嬉しいです。孫選手とは同世代で切磋琢磨できる存在。お互いに成長できる存在です」と王曼昱。
▲優勝した瞬間の王曼昱
東京五輪ではリザーブからの団体戦優勝。全中国運動会でも優勝、そして世界選手権も優勝。2021年は王曼昱にとっては忘れられない1年になっただろう。
▲お互いの健闘を称えあう2人。間違いなく両者は今後の女子卓球界のトップの位置に
▲優勝を決め、しばらくベンチで感極まる
~こぼれ話~
優勝した王曼昱さん。映画「アベンジャーズ」シリーズの大ファン。お気に入りのキャラクターは、キャプテン・アメリカ。なんだかアメリカと「縁」を感じますよね。