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昭和22年創刊、800号を迎えたニッタクニュースのバックナンバーから編集部がピックアップしてお届けするページです。
※ここに紹介の記事は、原文を一部抜粋、編集しています。敬称略
QアンドAとエピソードでつづる世界選手権おもしろ史
第7回1933(昭和8)年1月23~2月5日 バーデン(オーストリア)
第8回1933(昭和8)年12月2~10日 パリ(フランス)
Q 同じ年にふたりの世界チャンピオンが出た?
――第7回大会がバーデン(オーストリア)で、第8回大会がパリ(フランス)で開かれているね。同じ年に二度世界選手権が行われたのは、どういうこと?
A 欧州の卓球シーズンは秋に始まるから
……当時のヨーロッパでは、卓球シーズンが秋に始まり、翌年の春に終わるという習わしであった。9月から4月ごろまでが1シーズンだった。これによると、第7回大会は32年の秋から始まるシーズンに入り、国際卓球連盟は32/33シーズンとも表示している。第8回大会は、33/34シーズンとなる。同じ1933年の開催であるが、異なる年度の大会ということになる。
――それでバルナ(ハンガリー)が同じ年に二度世界チャンピオンになったり、女子ではふたりの世界チャンピオンが誕生しているわけだね。
こぼれ話
日本の卓球が暗くなった?
大正10(1921)年に日本で初めて全国的な卓球協会ができ、日本卓球ルールもできた。コートの色は「目を疲れさせないため」濃緑色と定められた。昭和8(1933)年にいたって「暗緑色」に変更。この頃から、日本の卓球台は暗いイメージのものになった。国際ルールが「濃色」の意味でダーク・カラー(dark color)と使っているのを「暗色」と受け止め、暗緑色にしたもの。平成1(1989)年になって誤りに気がつき、国内ルールを変更、現在では明るい色のブルーやグリーンの卓球台が使われるようになり、服装のカラー化と相まって卓球が明るくなった。
各種目の優勝
第7回大会
男子団体:ハンガリー
女子団体:なし
男子シングルス:バルナ(ハンガリー)
女子シングルス:シポス(ハンガリー)
男子ダブルス:バルナ・グランクス(ハンガリー)
女子ダブルス:メドニアンスキー/シポス(ハンガリー)
混合ダブルス:ケレン/メドニアンスキー(ハンガリー)
第8回大会
男子団体:ハンガリー
女子団体:ドイツ
男子シングルス:バルナ(ハンガリー)
女子シングルス:ケトネロワ(チェコスロバキア)
男子ダブルス:バルナ/サバドス(ハンガリー)
女子ダブルス:メドニアンスキー/シポス(ハンガリー)
混合ダブルス:サバドス/メドニアンスキー(ハンガリー)
(著者プロフィール)
藤井基男(卓球史研究家)
1956年世界選手権東京大会混合複3位。引退後は、日本卓球協会専務理事を務めるなど、卓球界に大きく貢献。また、卓球ジャーナリストとして、多くの著書を執筆し、世に送り出した。特に卓球史について造詣が深かった。ニッタクニュースにおいて「夜明けのコーヒー」「この人のこの言葉」を連載。
本コーナーは藤井氏から「横浜の世界選手権に向けて、過去の世界選手権をもう一度書き直したい」と本誌編集部に企画の依頼をいただいた。
執筆・発行の14日後、2009年4月24日逝去