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中国を本気にさせた1戦であったーー。
日本対中国の準決勝は、15時(現地時間)より行われた。
11時から行われた大韓民国対ドイツの試合が、15時前に終わった。接戦の末にドイツが勝利し、会場の雰囲気は素晴らしかった。
トップで戸上隼輔は、樊振東と対戦。戸上は今大会調子よく、何度も強打をコーナーに打ち合分けるも、樊は何度も返球する。そして戸上の連打がやや甘くなるとそこから逆襲。2ゲーム目こそ競るが、樊が勝利し先取点をあげる。
やはり中国か、という内容であったが、2番の張本智和が会場の空気を一変とさせるのであった。
1ゲーム目こそ落とした張本であるが、2ゲーム目以降は別人に。打点の早いバックハンドを軸に主導権を握ると、改良中であるフォアハンド攻撃とのコンビネーションで得点が決まる。また台上の攻撃で先手を取る張本に、王楚欽も徐々に守りが多くなる。さらに畳みかけるように気持ちを前面に出す張本。3-1で勝利し、イーブンに。会場の空気が変わる。
3番は及川瑞基。相手は五輪王者・馬龍である。「2度ほど対戦していてスコアは競っていた。特別やりにくい、という印象はない。とにかく攻めるだけだった」と試合後話してくれたが、及川はとにかく積極的に攻めた。1ゲーム目は及川が取る。会場、中国のベンチが少し慌てだす。しかしここからが馬龍である。経験豊富な男は、これまでのプレーを徐々に変え、及川のペースを崩し、ミスを誘う。結果、3-1で馬龍が勝利。決勝進出に王手をかける。
4番は張本。相手は樊である。中国メディアからは「日本は素晴らしい。さすがにもう大丈夫でしょう」と私の肩をたたいていく。しかし日本チーム関係者は誰一人あきらめていなかった。むしろこの状況を楽しむように向かっていく姿勢を出す。
バック対バックで張本は負けず、フォアに回されるとしっかりとした攻撃で対応する。結果は、3-2で張本が勝利。中国にも余裕がなくなる。
5番は戸上。ヒューストン大会(世界選手権・個人戦)でも対戦している王楚欽と顔を合わせた。
1ゲーム目。9-4とリードする戸上。さすがに会場がざわつく。しかし冷静だったのは、王楚欽、中国ベンチだった。8-9まで追いついた中国。日本ベンチも流れをかえるためにタイムアウトを要求する。しかし流れは変わらず、王楚欽が1ゲーム目をものにした。そこから緊張が解けた王は、伸び伸びとプレー。ストレートで勝利し、中国の窮地を救う勝利をあげた。
「決勝は、試合前についてはオーダーは一緒でいこうと話をしました。要所、要所が取れなかったのが戸上だったと思います。樊振東との試合の2ゲーム目がデュース。そこで1-1になっていたらもうちょっとだったかな、と思います。2番の張本は、良くフォアを攻められたけど良く対応した、と思います。及川は、1-1の4-0までは良かったと思います。
中国と試合をすると、より攻撃的に攻めないといけない。積極的にいくのはいいのだけど、少しリスクを伴う。より精度を高くする、ミスを少なくする、そこの部分を高めないといけないな、と思いました。そこの質が出たと思います。
ラストについては1ゲーム目が勝負だったと思います。戸上にも言ったのですが、9-4でのサービスミス。何気ないミスなのだけど、それが大きく流れを変えたと思います。なので1球ずつの質を高めないといけない。勝負所、ミスをしてはいけない場面で、ミスをしないのは当たり前で、それにプラス質の高いボールを打たないといけない。取りたいときに点数が取れなかった。ここが敗因だと思います。
でも本当に良く戦ってくれたと思います。色々と悔しいです。」と田㔟監督。
インタビュー中、何度も「惜しかった」と言葉をこぼした田㔟監督。「1球に対する質の要求。中国に勝つにはここが大事です」とも話してくれた。
▲さらに衝撃を与えた張本智和
▲素晴らしい経験をした戸上隼輔。最後は勝たせてあげたかった…。
▲自分らしさを出した及川瑞基