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2024.02.25

#RESULTS

【世界卓球】日本女子は5大会連続の銀。早田と平野の勝利で中国をあと一歩まで追い詰める

  • 早田ひな

  • 平野美宇

  • 張本美和

女子決勝トーナメント決勝

 〈中国 3-2 日本〉

孫穎莎 5、8、4 張本美和

 陳夢 6、-8、-9、-12 早田ひな○

 王芸迪 -8、-11、-10 平野美宇○

○孫穎莎 2、7、6 早田ひな

○陳夢 -4、7、8、7 張本美和

 

 5大会連続で中国と日本の顔合わせとなった世界選手権団体戦・女子決勝。4大会連続準優勝に終わっている日本女子は早田ひなと平野美宇が勝利し、中国をあと一歩まで追い詰めたが、無念の逆転負け。それでも、大会のベストゲームとも言える内容の素晴らしい戦いを展開した、胸を張れる準優勝だ。

 日本女子、トップを託されたのは15歳の張本美和。世界ランキング1位の孫穎莎との対戦となった。序盤から張本が積極的なプレーを見せるも、孫穎莎はそれを正面から受け止めて跳ね返す。1ゲーム目を奪われた張本は2ゲーム目、緩急をつけた攻守で応戦。しかし、レシーブで苦しみ孫穎莎がゲームを連取して王手をかける。3ゲーム目は1-4でタイムアウトを取るも、孫穎莎を止められずに連続失点を喫して勝負あり。まずは中国が先制点をあげる。

孫穎莎

 

 しかし、空気を一変させたのは日本のエース・早田ひな。東京五輪金メダリストの陳夢に1ゲームを先取されるも、2ゲーム目からは互角のラリーを展開。陳夢の厳しいコース取りに対しても次々にボールをねじ込むように返球。ゲームカウントを1-1とすると3ゲーム目も陳夢の猛追を振り切って連取。4ゲーム目はジュースにもつれ、早田が13-12とした場面でレシーブがネットイン。世界選手権決勝という舞台で早田が陳夢から初勝利をあげ、マッチカウントを1-1に戻す。

早田ひな

 

 早田の勝利に続けとばかりに、3番に出場の平野美宇は出足から圧巻の連打を披露。2番の陳夢の敗戦もあってか緊張の色が見える王芸迪を相手にバック対バックの激しい打ち合いを次々に制して1ゲーム目を奪うと、その後も勢いは止まらず。2・3ゲーム目はジュースにもつれたが、最後まで攻めの手を緩めず一気に押し切ってストレートで勝利。まさに「ハリケーン」、平野が怒涛の連打で王芸迪を押し切って日本女子が優勝まであと1勝に迫る。

平野美宇

 

 中国がリードを許す展開に次第に大きくなっていく日本応援団の声援、悲鳴にも似た中国応援団の絶叫、ざわめきが渦巻く会場内。その中で4番は早田と孫穎莎のエース対決。陳夢を破った早田で勝負を決めたい日本女子だったが、孫穎莎は強かった。1ゲーム目は早田のプレーをシャットアウトし3点で奪うと、2ゲーム目も中盤で逆転して連取。3ゲーム目も孫穎莎が着実に得点を重ねて早田を下し、優勝の行方はラストに委ねられた。

孫穎莎

 

 異様な雰囲気が流れる会場内、重圧に押しつぶされてもおかしくはないシチュエーションの中で先制したのは張本だった。思い切りの良い連打で初対戦の陳夢を押し込んで1ゲーム目を4点で奪う好スタートを切る。しかし、陳夢は動じず。2・3ゲーム目も張本がリードを奪ったが、陳夢が真骨頂ともいえる懐の深いラリーで逆転。さらにロングサービスを多用して張本にペースを握らせない。4ゲーム目に入ると陳夢はスパートをかけたように気迫を前面に出して張本を引き離してゲームセット。世界選手権初出場の15歳に対して、最後は東京五輪二冠の貫禄を見せるプレーで陳夢が中国の6連覇を決めた。

張本美和

陳夢

 

 敗れたとはいえ、53年ぶりの優勝を大きく予感させる戦いぶりを見せた日本女子。試合後、早田は「ここまで競った試合ができたことは自分たちの成長かなと思う」とコメント。3番で勝利した平野は「今までは負けてもどこか『しょうがない』という気落ちがあったかもしれない。今回、こんなに悔しいのは初めてだと思う」と語った。そして、決勝では2敗を喫したものの、初出場の世界選手権、しかしも決勝の舞台で陳夢を相手に「もしや」と期待させるだけのプレーを張本。「本当に今は悔しい気持ちでいっぱい。これからただただ、頑張るだけかなと思います」と悔しさとともに、とてつもなく大きな経験を手にした。

 リベンジの舞台は7月に開幕するパリ五輪。その前哨戦とも言える世界選手権で中国に与えたインパクトは極めて大きかったはずだ。