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昭和22年創刊、800号を迎えたニッタクニュースのバックナンバーから編集部がピックアップしてお届けするページです。
第5回は田添健汰選手(専修大、現・木下マイスター東京)です。
世界選手権混合複で、ベスト8入り。代表選手としての初舞台で得た経験を語ります。
*所属・年齢は当時のままです。
*ここに紹介の記事は、本誌記事を一部抜粋、編集しています。文中敬称略
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全日本選手権混合ダブルスに5回出場し、3回の優勝。うち2回は、今世界選手権優勝の吉村真晴(名古屋ダイハツ/6月よりファースト)・石川佳純(全農)組に勝利しての優勝。国内トップの強さを誇るペアが世界に挑んだ。
シングルスでも、ワールドツアーで李尚洙(韓国)らに勝利。地力はある。長身から繰り出す両ハンド攻撃は威力があり、加えてダブルスを勝ち上がる上で絶対に必要な、細かい台上プレー、カウンタープレーを得意としている。
「まさか代表に選ばれると思っていなかったので、驚いていました。と、同時に、代表選手なのだから、『勝利』すること、結果が求められていることがわかりました。
世界選手権までにたくさん練習しましたし、たくさんの経験を積むことができました。その経験も私にとっては大きかったです」
代表初選出。高校からペアを組む前田美優(日本生命)とともに、アジア選手権を戦う。強豪らに勝利し、初代表で銅メダルを獲得。初代表ということを考えれば、銅メダルでも、合格点がつけられるのではないだろうか。もちろん本人は満足していないだろうが。
世界選手権。緊張はそこまでなかった、と振り返った。
「もっと緊張するかな、と思っていましたが、大会前は特に緊張しなかったです。しかし、試合開始1時間前になると、急に足が重くなったというか、何かを意識するようになっていました。試合が始まれば良い感じでプレーできていたので大丈夫でしたが…」
初戦はチェコのペアにフルゲームで勝利。スコアこそ接戦であるが、内容は田添たちのペースだった。
「ヨーロッパのペアはラリー戦が強い。ボールに威力があるので、距離を取って入れにきた両ハンド攻撃でも威力がある。そしてコース取りもよいので、どういう風に攻めていいかわからなくなる時があります。
それがアジア選手権の時に感じたアジア選手に対する印象と、ヨーロッパ選手との差かなと思います。アジア選手は、台上が上手いというか、台上からの展開が多いので自分としてはやりやすいんです」
初めての世界選手権ながら緊張はなかったという
数センチ、数ミリの攻防
メダル決定戦。田添・前田組は、黄鎮廷・杜凱栞(中国香港)と対戦。1ゲーム目は4-8から挽回勝利した。2ゲーム目以降はリードするも、落としてしまい、結果、ゲームカウント2対4で敗戦。初出場となった世界選手権はベスト8という結果だった。
「内容は悪くなかったと思います。悪くなかっただけに余計に悔しいんです。6ゲーム目の9-9。相手のチキータレシーブがフォアサイドにくるのがだいたい読めていました。でもそれが取れなかった。それが今の実力だと思うんです。常にファインプレーをしないと世界のトップでは勝てない。そう感じました」
またこうも続けた。「ミックスダブルスは男子が頑張らないといけない。その面では何もできなかった。男子に攻撃されたら、パートナーは絶対に取れない。勝ち上がるに連れて、女子のレベル、ボールの質が良くなってきます。コースを外したり、ボール1個分であったり、数センチ、ミリ単位でボールのコースを変えていかないといけないと思います」
インタビュー時は冷静に話していたが、試合直後は珍しく、悔しさのあまり泣いていた。
ミックスダブルスは、日本の吉村・石川組が優勝。奇しくも、田添・前田組が全日本選手権で勝利しているペアである。
「全日本選手権とは全く違う吉村さん、石川さんでした。準決勝、決勝を見て、大事な場面で力を出す重要さ、そして、狙えるボールは、男女関係なく、狙っていかないといけない、と感じました。良い経験ができました」
初めての世界選手権で今後につながる大きな経験を得た
世界との差は「少し」
ミックスダブルスという種目で、田添は初めて世界選手権を経験した。
「世界選手権前はもっと緊張すると思っていたし、もっと差があるかな、と思っていました。でも、意外と差はないな、と思いました。でも、その差を埋めるのが大変なんです。
普通、フォアサイドに打つのは怖く、私はミドルとかに打ってしまうのですが、強い選手は最後はフォアサイドに打ってくることがわかりました。男子シングルス決勝を見ていても、樊振東選手がゲームカウント1対3となった時に、今までのバックハンド主体の戦術から、フォアハンド主体の戦術に変えて、ゲームオールに追いつきました。最後は馬龍選手が経験の差で勝ちましたが、あの決勝戦はワクワクしたというか、感動しましたね」
世界選手権を経験して一回り大きくなった田添。その経験は、どんな参考書よりも役に立ったはず。もう一度、新たな気持ちで「金メダル」を追う旅に出かける。
次回は11月16日に配信!
佐藤瞳選手が2017年世界選手権を振り返ります!