OFFICAL ACCOUNTFOLLOW US
TOPICS
昭和22年創刊、800号を迎えたニッタクニュースのバックナンバーから編集部がピックアップしてお届けするページです。
第2回は、男子ダブルスで準優勝に輝いた森薗政崇選手です。
ダブルスのパートナーである大島祐哉(木下グループ)選手とともに、前回の蘇州大会の悔しさをバネに、いかに試合に備えたか、そして中国ペアとの試合を振り返ります。
*所属・年齢は当時のままです。
*ここに紹介の記事は、本誌記事を一部抜粋、編集しています。文中敬称略
本誌記事ページはこちら!
2年前から見えたモノ
「1試合ずつ全力でプレーしよう」とパートナー・大島祐哉と話して臨んだ今大会。長年組んできた経験が花開いた。挑戦はこれからも続く。
失意だった。平成28年度全日本選手権(2017年1月)。優勝を目指した男子シングルス。まさかの初戦敗退。早々に会場から姿を消した。それでも大島と組むダブルスでは、国際大会で活躍。「ダブルス」では結果が出るだけにもどかしい日々が続く。
最高位では21位だった男子シングルス世界ランキング(2015年8月)も気が付けば、63位(2017年5月)まで落ちてしまった。それでも4月に行われたアジア選手権では、混合ダブルスで銀メダル、男子ダブルスでもベスト8入り。結果を残した。
1試合ずつ全力でプレー
モチベーションは高かった
『今大会の目標は?』大きな大会前に、メディアが必ず質問するフレーズである。しかし森薗たちは特に目標を定めていなかったそうだ。
「1試合ずつ全力でプレーしよう。ただそれだけを大島さんと話をしていました。倉嶋監督、田㔟コーチからも『金メダルを目指せ』と良い意味で発破をかけられていました。そういう意味では毎日の練習が真剣で、モチベーションは高かったです。でも今振り返ってみると、試合になったら勝ちたいということを意識してしまって、準々決勝のチャイニーズタイペイ戦は、メダルを意識しすぎて、硬くなってしまっていましたね」
ダブルスはコンビネーションが重要である。しかし、意外にも2人は遠征先で同じ部屋に泊まることになっても、特に会話を交わすことはないという。しかし試合になると、次はどうする?など、戦術的な会話が増えるという。
「長年ペアを組ませていただいているので、こういう場面ではこういうことをしてくれる、など技術的な部分は把握しているので、相手がこういうことをしてきているから、こうしようとか、戦術的な会話が多いです。
また、世界選手権は特にそうなんですが、ゲームカウント3対0でリードしていても、1ゲーム取られたらわからなくなるし、1本でも取られたら流れが変わるケースがあります。お互いに『ここから集中だよ』ってフレーズが多いと思います」
高いモチベーションで試合に臨んだ
経験。2年前の2015年蘇州大会は、中国ペアに、マッチポイントを取りながら、逆転負けを喫した。その経験は大きく、あの1本があったからこそ今があるとも話す。
「2年間ずっとワールドツアーに出させていただいた。長い時間ペアを組めたことで、ペアリングが良くなっていたと思う。
蘇州大会の時は、マッチポイントを取っていたこともあるので、前回の方が良い試合だった、という見方が大半かもしれませんが、自分たちからしたら、今回もあの時と同じぐらい勝つチャンスがあったと思う。数字では表せないんですけど、あそこの1本が取れていたら、と思うシーンがたくさんありました。実際に落としたゲームは全て先に9本取っているんです。しかし、そのシーンで1本を取らせてくれない、簡単にミスをしない。中国って凄いです」
決勝では中国ペアと互角以上に戦った
差は縮まっている。しかし土壇場の質の高さは見習う必要がある
ダブルスで対戦した中国ペアの感想を聞いてみた。
「樊振東選手のレシーブではなく、ラリー中の身体を入れてから繰り出すミドル前、バック前のチキータ攻撃。1本もミスはしないし、質が高い。許昕選手は、中陣からの重いフォアハンドドライブ。中国との差はたしかに縮まっていると思うのですが、土壇場での集中力、個人の技術、質の高さは見習わないといけません。
ダブルスだけで言えば、私のチキータレシーブはまだまだ効果的だな、と感じました。ただこれからは研究をされて、対応してくると思うので、進化する必要があると思います」
これからさらに活躍するために必要なことも質問をしてみた。
「体力的、肉体的なことは、体重比率から考えると、中国と大差はないと思います。男子シングルス決勝を見て感じたことは、自分とはプレーの質が全く違うな、ということでした。きっと現実ではありえないピッチで練習しているのだと思います。」
近頃取り組んでいる練習は、メンタルトレーニング、だそうだ。
「メダルはとれたけど、これでいいのかと不安になる。結局その不安が収まるのは試合で勝つこと。どうやって試合で勝てるのかを練習で考える」
明確な目標を持つことも、落ち込まないために必要なことだ、とも話してくれた。
目標を持つこと。目標に向かって努力することは困難が多く、厳しい道が続く。森薗の挑戦がまた始まる。
次回は11月2日に配信!
伊藤美誠選手が2017年世界選手権を振り返ります!